北海道大学情報基盤センターの重田勝介教授によるnote記事を、許可を得て紹介いたします。
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マイクロクレデンシャルとは、大学の学位よりも細かく短期間での学習成果を示す証明で「学修証明」と和訳できる。デジタル上で安全に管理する方法として、検証可能な資格証明(VC)やオープンバッジという国際標準規格がある。マイクロクレデンシャルの教育利用には、学びの成果の記録・証明という教育学的側面と、プライバシーを守りながらデジタル共有する情報学的側面の双方の理解が必要である。
教育機関が学修証明を出す意味は3つある。第一に学位では表現できない学習成果を示せる。第二に卒業後の職種で役立つ能力を示せる。第三に授業や教育プログラムに互換性を持たせられる。OECDは学修証明の作り方として「埋め込み型」「既習得学習認定型」「モジュール型」の3パターンを示しており、これらにより大学間での授業や教育プログラムの互換性を高めることができる。
学修証明は学習者の身につけた知識やスキルを可視化する。学校・大学だけでなく企業内教育や社会教育でも使いやすい。学位と比べて学修証明は学習者の得た知識やスキル、専門分野との繋がりを細かく表現でき、学びの成果をわかりやすく示せる。学修証明に記載する情報例として、学習者情報、発行日、発行機関、内容、学修成果、学習量、評価方法、質保証、能力レベルなどがある。
学修証明は学習成果を「裏付ける」機能を持つ。裏付けには2種類ある。「エビデンス」は学習ログ、レポート、評価ルーブリックなど学習プロセスの記録や成果物で、これらの情報がウェブリンクとして埋め込まれる。「エンドースメント」は第三者による評価や保証で、外部者が学習成果の価値を認めて追加する情報である。多面的に学習成果を記録し他者にわかりやすく示せる点が学修証明の特徴である。
デジタル学修証明は、国際標準規格であるVerifiable Credentials(VC)やOpen Badges 3.0を用いてデータファイルとして作成される。JSON形式の構造化テキストファイルに、発行者、達成内容、調整基準、証拠、証明などの情報が記録される。発行者の電子署名により改ざん防止が可能。学修証明そのものの情報をメタデータ、裏付け情報をペイロードという。
学修証明を安全に出すには2つの保護が必要。第一にプライバシー保護として、受け取った人が誰にも知られず提示でき、必要な部分のみ開示できる。第二に改ざん・偽造防止として、内容が書き換えられず、なりすまし発行を防止する。これらを実現する検証可能な資格証明(VC)では、発行者・保持者・検証者の3者を定義し、選択的開示機能とデジタル署名により学修証明の信頼性を確保する。